そこに意味なんてない。クリスマスの前に読みたい本
今週のお題「最近おもしろかった
本」
「ほし めざめなさい」という印象深い言葉とポストカードのような絵から始まるクリスマスの絵本。
ページをめくると「名詞+~しなさいという命令形」で話が展開されていきます。
さめ わすれなさい
みち こころみなさい
というように。
命令形と暗い色彩の絵柄の相乗効果でしょうか、静かで厳かな雰囲気が伝わってきます。
だけど、落ち着いて考えてみると
……意味がわからない。
さめ わすれなさい?
誰が何に対して何を言っているのか。全くもってわからないまま話はどんどん進みます。
そして、最後のさいご。ずっと続いていた「名詞+命令形」パターンのゆるやかな破調がやってきて物語は幕を閉じます。
全然クリスマス感はなかったはずなのに、読み終わった後はたしかにクリスマスの絵本を読んだような気になる、そんな不思議な作品です。
[補足]
大人は意味性や法則性を絵本に見出そうとしがちだけれど、子どもは訳がわからないままに楽しめるようです。「もみのきそのみをかざりなさい」と嬉しそうに連呼していました。
クリスマスの当日ではなく、その少し前に読むのがおすすめです。もちろん、今の時期でも十分に楽しめます。